[再生医療] iPS細胞研究機関が連携し、日本全体で戦略的な知財獲得を

今後の幹細胞・再生医学研究の在り方について(2/1)《文部科学省》

2013年02月01日

文部科学省は2月1日に、「今後の幹細胞・再生医学研究の在り方について」を発表した。


これは、科学技術・学術審議会の幹細胞・再生医学戦略作業部会の意見を踏まえて、平成24年5月にまとめられた報告書を修正したもの。iPS細胞をはじめとする幹細胞を用いた再生医療技術の戦略的な推進方策や支援方策について提言している。

そこでは、「iPS細胞に関して、我が国の研究は世界最高水準にあり、実用化も進んでいる」ことなどの現状を俯瞰したうえで、(1)高い安全性・分化能を有するiPS細胞からなる「再生医療用iPS細胞ストック」を確立し、他機関へ提供できる体制を構築する(2)「再生医療用iPS細胞ストック」からの細胞による研究を進め、実用化に向けた課題の洗い出し、対策の立案を行う(3)「再生医療の実現化ハイウェイプロジェクト」を推進し、規制・倫理面を含めた集中的な支援を行う―ことを目指している(p9参照)。

具体的には、(i)iPS細胞の安全性・標準化や疾患・組織に着目した研究などの体制構築(p9~p12参照)(ii)長期的な研究支援と人材育成(p13参照)(iii)再生医療の特性を踏まえた評価法の確立等(p13参照)(iv)オールジャパン体制の知財戦略(p13~p14参照)―が進められる。

(i)では、「安全性・標準化を研究する拠点」「疾患・組織別の臨床応用に向けた重点的研究拠点」など、機能別の研究拠点を整備するとともに、拠点ごとの連携を強化する方針を打出している。

また(ii)の人材育成に関しては、「研究費の獲得を狙うリサーチアドミニストレータや、科学技術コミュニケーション、生命倫理に係る人材の活用が有用」と見通している。

さらに(iv)では、iPS細胞の基本特許が競合している状況を訴え、各研究機関が個別に知財を獲得するだけではなく、「戦略的に連携して知財を獲得・活用することが重要」と提言している。

なお、参考資料としてiPS細胞研究ロードマップが示されている。たとえば、心筋の再生については28~29年頃から、視細胞の再生については27~28年頃から、肝細胞の再生については29~30年頃から臨床研究を行いたい考えだ(p21~p24参照)。

添付ファイル

 P1~P24

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